中国2020年製品VOC規制について

　　中国2020年製品VOC規制Q&Aページの更新について当社の見解は下記ようにまとめてますが、よろしくご確認のほうお願いいたします。本規定は12月から施行する予定ですが、これは原材料にVOC物質含有量に関する規定でVOC揮発、排気に関する規定ではありません。VOC物質を含有するものの製造メーカにまた販売業者にはとても注意を呼びかけたいことです。

　　まず、更新基準の一覧ご確認ください。

　　①木製器具用塗料中の有害物質規制値(GB 18581-2020)

　　②建築用壁面塗料中の有害物質規制値(GB 18582-2020)

　　③車両用塗料中の有害物質規制値(GB 24409-2020)

　　④工業防護用塗料中の有害物質規制値(GB 30981-2020)

　　⑤接着剤VOC制限量(GB 33372-2020)

　　⑥インキ中のVOC含有量規制値(GB 38507-2020)

　　⑦洗浄剤VOC含有量規制値(GB 38508-2020)

中にはいくつかのポイントを説明させていただきます。

　　【注意点A】

　　対象品目を使用した製品・包装物は規制対象外です。例えば粘着テープ、印字済み製品・包装物あくまで塗装・接着・洗浄できる状態の製品のみ規制対象です。また対象品目の原材料も規制対象外です。今回の製品VOC基準の規制対象は、VOC含有製品の製造･販売業者(洗浄剤等)及びそれを利用する工場側に区分されます。工場側がVOC含有製品製造販売者から、洗浄剤等の特定用途ではなく単一成分の有機溶剤として製品を購入して洗浄剤として利用し、それがVOC製品基準を上回っていた場合でも、VOC含有製品の製造･販売業者は処罰の対象とはなりません。一方、工場への環境･安全当局の現場検査の際に、使用する工場側が処罰対象となる可能性はあります。洗浄剤等特定の用途と明示した上で、基準を超過した有機溶剤を販売した場合、販売者、使用する工場側いずれも法令違反で処罰対象となります。

　　【注意点B】

　　今回はあくまで塗料・インキ・接着剤・洗浄剤の製品のみが対象となりますので、有機溶剤は今回の規制対象外ですが、施行後も購入・使用可能です。また接着剤の希釈剤は｢接着剤｣ではないため規制対象外となります。しかし、今回の接着剤基準のVOC含有量測定対象はあくまでも｢使用可能状態となった｣接着剤であるため、もしその接着剤が溶剤で希釈して使用することを前提として作られている場合、希釈後のVOC含有量が基準を満たしている必要があります。なお、混合・調合する前のそれぞれの物質について、接着・塗装の機能がまだ発揮されていない段階では、規制対象外になります。混合・調合して、接着・塗装する段階の状態で測定して規制値順守が求められます。

　　【注意点C】

　　施行日前に購入した新基準不適合の塗料(インキ含む)・接着剤・洗浄剤の在庫の使用については、工業塗装の場合、法律違反かつ処罰条項あり、接着剤・洗浄剤の場合は法律違反だが処罰条項がなし、つまり処罰されないが違法リスクありとなっています。また、施行日以降、使用に規制がかかることに工業塗装と接着剤・洗浄剤は扱いが少し異なります。工業塗装の場合は基準適合塗料の使用が義務付けられ処罰規定もあります。接着剤・洗浄剤は基準適合物品の使用が義務付けられるが処罰規定はありません。

　　【注意点D】

　　測定・検査について下記要点は要注意です。

　　①検査部門

　　・税関検査：通関時に税関が、対象品目が基準適合しているかを検査します。

　　・市場検査：品質監督局が販売している対象品目をランダムで調達し基準適合しているかを検査します。

　　・環境検査：環境局が立入検査時に、工場内にある対象品目を取出して基準適合しているかを検査します。

　　②検査内容

　　・検査する資料としては主に、測定報告書、SDS、包装上のラベル、製品説明書になりますが、当局がそれだけで不十分と判断した場合、現場サンプリングして専門の実験室で測定試験して判断します。

　　③測定機関

　　・製品VOC含有測定に特化した測定機関の認証制度はありません。CMAやCNASの資格を持つ測定機関が製品VOC測定資格を有していれば対応可能です。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　④.製品VOC含有量基準の順守の証明は、日本国内の測定機関や自社測定でも対応不可能です。CMA(資質認定計量認証証書)やCNAS(中国合格評定国家認可委員会実験室認可証書)の認定資格を持ち、製品中VOC含有量の測定が可能な機関に測定を依頼し、証明書を取得する必要があります。

　　2020年11月26日